しじみの栄養成分
なぜ「しじみ」は昔から、体に良いといわれているのでしょうか?

健康のために、日本人が昔から食べていた食材・しじみ。
食生活の乱れや飲酒、疲労、ストレスなどにより、現代人の多くが健康上の悩みを抱えています。現在の健康状態は、長年の食生活の積み重ねの結果でもありますが、日本では昔から、「しじみ」が体によい食べ物として重宝されてきました。実際に調べてみると、「しじみ」には何種類もの栄養成分がバランス良く含まれていることがわかります。今回は「しじみ」に含まれる主な栄養成分と、その働きをご紹介します。
「しじみ」に秘められた驚くべきパワー!
ビタミンB12

「赤いビタミン」と呼ばれ、体のさまざまな反応に関与して、中枢神経機能の維持や脂肪代謝に重要な役割を果たします。
不足すると悪性貧血や神経障害が起こるとされ、産前産後の女性には特に必要といわれています。ビタミンB12は微生物によって合成されるため、植物性食品には含まれません。菜食が中心の方は、サプリメントで補うことをおすすめします。
100gあたりのビタミンB12含有量

ビタミンB12摂取量(μg/日) | |||
---|---|---|---|
歳 | 男性 | 女性 | 上限量 |
18~29 | 2.4 | 2.4 | 無 |
30~49 | 2.4 | 2.4 | |
50~69 | 2.4 | 2.4 | |
70以上 | 2.4 | 2.4 |
アミノ酸

自然界には、数百種類ものアミノ酸が存在しますが、タンパク質の構成成分となるのは、わずか20種のみです。この20種のうちひとつでも欠けると、タンパク質を合成することができません。さらに、その中の9種類は、体内で合成することができない為、必須アミノ酸と呼ばれます。この必須アミノ酸のほとんどが組み合わさったものが、良質なタンパク質といえます。その指標となるのが「アミノ酸スコア」で、100を満点とした場合、「しじみ」はアミノ酸スコア100となります。
アミノ酸スコア

カルシウム

日本人に最も不足しているといわれる成分です。骨や歯を作り、筋肉と神経の働きを調整する働きがあります。カルシウムは、成長期に不足すると成長が抑制され、成長後に不足すると骨がもろくなり、骨粗鬆症の原因にもなります。
特に、閉経後の女性は、ホルモンの影響で骨量が減少しやすくなります。カルシウムには、脳神経の興奮を抑える働きもあるため、慢性的な不足が続くと、イライラなどにもつながります。
100gあたりのカルシウム含有量

カルシウム摂取量(mg/日) | |||
---|---|---|---|
歳 | 男性 | 女性 | 上限量 |
18~29 | 800 | 650 | 2300 |
30~49 | 650 | 650 | |
50~69 | 700 | 650 | |
70以上 | 700 | 650 |
鉄分

鉄は、赤血球中のヘモグロビンを結合し、酸素の運搬や細胞呼吸に重要な役割を果たしています。筋肉中のミオグロビンなどの構成要素として、酸素を貯蔵する役割もあります。
また、酵素の構成成分にもなっているため、エネルギーの代謝にも、重要な働きをしています。鉄が不足すると、貧血(酸素不足で臓器の働きが低下・だるさ・寒気・めまい・吐き気など)になりますが、その原因はさまざまです。たとえば、発汗によって失われるため、暑い季節は要注意。痔や潰瘍などが原因で症状が現れたり、無理なダイエットでも、鉄分不足に陥ることがあります。
鉄は過剰摂取が心配されがちですが、もともと、体内に吸収されにくい栄養素なので、普通の食事で摂りすぎる心配はまずありません。ただし、摂取制限のある方は、サプリメントや食事などで過剰に摂り続けると、病状の悪化につながるので、バランスよく、適正な量を摂取することをおすすめします。
100gあたりの鉄分含有量

鉄摂取量(mg/日) | |||||
---|---|---|---|---|---|
歳 | 男性 | 上限量 | 女性 | 上限量 | |
月経 なし |
月経 あり |
||||
18~29 | 7.0 | 50.0 | 6.0 | 10.5 | 40 |
30~49 | 7.5 | 55.0 | 6.5 | 11.0 | 40 |
50~69 | 7.5 | 50.0 | 6.5 | 11.0 | 45 |
70以上 | 7.0 | 50.0 | 6.0 | - | 40 |
ビタミンE

脂質の過酸化の阻止、細胞壁、生体膜の機能維持に関わっています。欠乏すると、神経機能低下、筋無力症、不妊症等が起こることが分かっています。
また、老化の原因である活性酸素の害から体を守る働きがあるため、アンチエイジングのビタミンとしてもよく知られています。たとえば、シミ・ソバカス・シワはメラニン色素が皮膚へ沈着するのが原因ですが、活性酸素には、メラニン形成反応を促進することが分かってきています。
また、悪玉コレステロールというわれるLDLを酸化させて、異物である酸化LDLに変化させたりします。酸化LDLは血管内で処理されますが、処理できなかったものが血管の内側に溜まり、動脈硬化の原因になるのです。
ビタミンEには、こうした反応の原因となる活性酸素の働きを抑える機能があります。さらに、抹消血管を広げる作用もあるため、血行障害による肩こりや頭痛、冷え症などの改善効果が期待できます。
100gあたりのビタミンE含有量

ビタミンE摂取量(mg/日) | ||||
---|---|---|---|---|
歳 | 男性 | 上限量 | 女性 | 上限量 |
18~29 | 7.0 | 800 | 6.5 | 650 |
30~49 | 7.0 | 900 | 6.5 | 700 |
50~69 | 7.0 | 850 | 6.5 | 700 |
70以上 | 7.0 | 750 | 6.5 | 650 |
ビタミンB2

「発育のビタミン」や「美容ビタミン」といわれ、成長を促進したり、皮膚・髪・爪などの細胞の再生に関わっています。
また、脂質・糖質・タンパク質を分解してエネルギーに変える際の補酵素としての役割もあります。ビタミンB2が欠乏すると、口内炎や皮膚炎、激しいかゆみ、髪のトラブルなどの症状が現れます。
100gあたりのビタミンB2含有量

ビタミンB2摂取量(mg/日) | ||||
---|---|---|---|---|
歳 | 男性 | 上限量 | 女性 | 上限量 |
18~29 | 1.6 | 無 | 1.2 | 無 |
30~49 | 1.6 | 1.2 | ||
50~69 | 1.5 | 1.2 | ||
70以上 | 1.3 | 1.0 |
グリコーゲン

エネルギー源になる栄養成分です。お酒を飲んだ翌朝にも、大切な働きをします。
その他にもたくさんの栄養成分
亜鉛 | タウリン | オルニチン | イソロイシン |
リジン | ナイアシン | プロリン | アスパラギン |
セリン | ヒスチジン | メチオニン | アルギニン |
アラニン | トリプトファン | グルタミン酸 | パリン |
スレオニン | フェルニルアラニン | コハク酸 | ビタミンB6 |
シスチン | チロシン | ロイシン | グリシン |